不動産の売却を検討中で、売却の流れがわからず、困っている方も多いでしょう。
事前に売却の流れを把握しておくことで、売却プロセスをスムーズに進めることができ、チャンスを逃さずに対処できます。また、信頼できる不動産会社とそうでない会社を見分けることができ、より有利な条件での売却が可能です。
この記事では、不動産売却の流れを図解や8つのステップで詳しく説明します。不動産売却を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
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不動産売却の流れを把握しよう!全体像の解説
不動産売却の流れその1.相場を把握する
売却不動産の相場を把握しておくことは重要です。相場を知っていれば、不動産会社の提示する査定額の妥当性を判断できます。極端に高額または低額な査定額が提示されても、「おかしい」と気付けるため、信頼できる不動産会社とそうでない会社を見分けることが可能です。
また、相場を把握することで、資金計画の具体性が増します。「売却金額でローンを完済できるか」「売却後に手元に残る金額はどれくらいか」などを推測できるため住み替えなどの計画も進めやすくなります。
具体的な資金計画を立て、信頼できる不動産会社を見つけるためにも、まずは相場を把握しましょう。
不動産相場の調べ方
不動産の相場は、以下の方法で調べることができます。
不動産相場の調べ方 | 内容 |
---|---|
レインズマーケットインフォメーション | 不動産流通機構が運営する不動産取引情報提供サイト。実際の売買金額(成約価格)情報を確認できるため、相場を推測することが可能。市場動向のグラフも確認できる。 |
不動産情報ライブラリ(旧土地総合情報システム) | 国土交通省が提供するサイト。以前は「土地総合情報システム」という名称でしたが、2024年4月1日より「不動産情報ライブラリ」へと統合。実際に売買された取引価格情報をもとに相場を推測できる。 |
不動産ポータルサイト | 「HOME’S」や「SUUMO」などのポータルサイトで中古物件の売り出し価格を確認し、相場を推測することが可能。 |
不動産情報誌や折込チラシ | 街中の不動産情報誌やチラシから中古物件の販売価格を確認し、相場を推測できる。 |
「レインズマーケットインフォメーション」と「不動産情報ライブラリ(旧土地総合情報システム)」では、実際の売買価格(成約価格)を確認でき、「不動産ポータルサイト」や「不動産情報誌、折込チラシ」では売り出し価格を確認することができます。
これらの方法は、いずれも費用をかけずに不動産相場を調べることができます。
不動産売却の流れその2.一括査定サイトで依頼する
相場を把握した後は、一括査定サイトを活用して複数の不動産会社に査定を依頼します。一括査定サイトを利用するメリットは、複数の不動産会社に効率よく査定を依頼できることです。
一社ずつ査定を依頼する手間を省けるばかりでなく、複数の不動産会社の査定額や特徴、対応、実績などを比較することができます。その結果、信頼できる不動産会社を見つけやすくなります。
査定の方法には「机上査定(簡易査定)」と「訪問査定」の2種類があり、それぞれで内容が異なるため、事前に把握しておくことが重要です。
査定方法 | 内容 |
---|---|
机上査定(簡易査定) | 訪問はせずに、過去の類似物件の売買データなどをもとに査定額を算出する方法。査定結果が素早くわかるのが特徴。 |
訪問査定 | 売買データに加えて、実際に訪問して物件や周辺環境を確認し、査定額を算出する方法。机上査定と比べて査定結果がわかるまでの期間は長くなりますが、精度の高い査定ができるのが特徴。 |
なお、一括査定サイトは無料で利用でき、1分程度で手続きを完了することも可能です。
不動産売却の流れその3.不動産会社と媒介契約を結ぶ
売却を依頼する不動産会社が決まったら、媒介契約を結びます。媒介契約には、「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類があり、それぞれで内容が異なります。
各媒介契約の詳細は、次のとおりです。
専属専任媒介契約 | 専任媒介契約 | 一般媒介契約 | |
---|---|---|---|
複数の不動産会社との契約 | ✕ | ✕ | ◯ |
売主と買主の直接取引 | ✕ | ◯ | ◯ |
不動産会社の活動報告 | 義務 (1週間に1回以上) | 義務(2週間に1回以上) | 任意 |
レインズへの登録 | 義務(7日以内) | 義務(5日以内) | 任意 |
契約期間 | 3ヶ月以内 | 3ヶ月以内 | 定めなし |
専属専任媒介契約は、1社独占のため、力を入れて売却活動を行う点がメリットです。一方で、仲介手数料を獲得するために、他社からの顧客を断るなどの囲い込み行為が行われるリスクがあります。
専任媒介契約も1社独占となるため、不動産会社が積極的に売却活動を行うメリットがあります。売主は自身で買主を見つけ、直接取引を行うことも可能です。ただし、囲い込みを受けるリスクがあります。
一般媒介契約は、複数の不動産会社と契約できるため、囲い込みのリスクが軽減され、買い手の選択肢が増えます。しかし、不動産会社は売却活動をしても仲介手数料が得られるとは限らないため、積極的な活動を行わない可能性がある点がデメリットです。
各媒介契約の特徴を把握し、自分に合った方法を選択することが重要です。
不動産売却の流れその4.売却活動を行う
不動産会社との媒介契約が成立すると、売却活動が始まります。売却活動には、以下のような内容が含まれます。
- 不動産会社と売却条件を決めて販売戦略を立てる
- 不動産ポータルサイトなどに広告を出す
- 内覧のための準備を行う
不動産会社と話し合い、売却価格などを決定し、販売戦略を策定します。売主が生活する中で感じる物件の魅力やアピールポイントをしっかりと共有することが重要です。
販売戦略が決まったら、レインズや不動産ポータルサイト、不動産情報誌、不動産会社の自社サイトなどに物件情報が掲載されます。
内覧の準備はとても大切です。内覧中に悪い印象を与えてしまうと、売却の見込みが低下します。特に、水まわりの汚れやサビは不快感を与えやすいため、事前に清掃しておくことが重要です。ハウスクリーニングなども検討し、清潔でキレイな状態にしておきましょう。
内覧当日には、十分な換気を行い、全室の照明をつけておくことが大事です。また、内覧者の人数分のスリッパも用意してください。特に夏や冬は、冷暖房設備を利用して快適な室内環境を整えておくことが大切です。
不動産売却の流れその5.購入申込者と条件交渉をする
購入申込者が現れたら、条件交渉に入ります。通常、購入申込者との条件交渉は、不動産会社が行います。そのため、売主は直接条件交渉を行うことはありません。
多くの場合、購入申込者は価格の値下げやサービスを要求してきます。そのため、「4,000万円を3,800万円まで値下げ可能」「引き渡し時期を1ヶ月早めることはできるが、それ以上は難しい」など、交渉において譲歩可能な点と不可能な点を明確にし、不動産会社と共有しておく必要があります。
売買価格や引き渡しの時期、手付金、設備の補修、家具や家電のサービスなど、細かい部分まで調整しておくことが重要です。
不動産売却の流れその6.買主と売買契約を結ぶ
条件交渉がまとまったら、買主と売買契約を結びます。売買契約の流れは、以下のとおりです。
- 宅地建物取引主任者による重要事項の説明
- 売買契約書の読み合わせと内容の確認
- 売主と買主の双方が売買契約書に署名・捺印
- 買主が手付金を支払う
- 不動産会社に仲介手数料を支払う
通常、不動産の売買契約は、不動産会社の立ち会いのもとで、売主と買主が同席して行われます。売買契約にあたり、印鑑や印鑑証明書、必要書類、仲介手数料を事前に準備しておく必要があります。
不動産売却の際に必要となる書類は、以下のとおりです。
- 本人確認書類
- 印紙税額分の収入印紙
- 登記済証(権利証)または登記識別情報
- 固定資産税・都市計画税納税通知書
- 建築確認通知書・検査済証
- 土地測量図や境界確認書
- 設備表
「登記済証(権利証)または登記識別情報」は、不動産を取得した際に受け取ったもので、「固定資産税・都市計画税納税通知書」は市区町村役所から毎年送られてきます。「土地測量図や境界確認書」は、法務局で取得することが可能です。
不動産会社に支払う仲介手数料
売買契約成立後、不動産会社に仲介手数料を支払います。仲介手数料は成功報酬であり、売買が成立しなかった場合は支払う必要はありません。
仲介手数料は、宅地建物取引業法(宅建業法)によって上限が決まっています。売買価格に応じて決められた仲介手数料の上限は、以下のとおりです。
不動産の売買価格 | 仲介手数料の上限 |
---|---|
200万円以下の部分 | (売買価格×5%)+消費税 |
200万円超400万円以下の部分 | (売買価格×4%+2万円)+消費税 |
400万円超の部分 | (売買価格×3%+6万円)+消費税 |
参考:宅地建物取引業法
売買価格が400万円を超える場合、以下の簡易計算式で仲介手数料の上限を算出できます。
- 仲介手数料=売買価格×3%+6万円×消費税
例えば、売買価格が4,000万円の場合、仲介手数料の上限は「4,000万円×3%+6万円×消費税=138万6,000円」となります。
仲介手数料は、全額を取引完了後に支払う場合もあれば、売買契約成立時に半額を支払い、残りの半額を引き渡し時に支払う場合もあります。不動産会社に仲介手数料の支払い方法について確認しておきましょう。
不動産売却の流れその7.買主に引き渡しする
売買契約が締結された後、買主の資金準備(住宅ローンなど)に問題がなければ、物件の引き渡しとなります。引き渡しと決済(残金支払い)は同日に行われ、売主も立ち会うのが一般的です。
また、決済が確認されたら、所有権の移転登記を行い、買主に不動産を引き渡します。所有権の移転登記の手続きは、通常、司法書士に依頼します。
引き渡しの際に必要なものは、以下のとおりです。
- 所有権移転登記の関係書類
- 抵当権抹消登記の関係書類
- 登記費用(司法書士への支払い)
- 住民票
- 実印
- 鍵
- 買主へ引き継ぐ資料
- 仲介手数料(残金)
売買契約の締結から引き渡しまでには、買主の住宅ローン審査や売主の残置物処分、引っ越しなどの準備が必要であり、通常1ヶ月〜2ヶ月程度の時間を要します。
不動産売却の流れその8.確定申告をする
不動産を売却して利益が出た場合は、確定申告を行い、譲渡所得税を納付する必要があります。譲渡所得税は、譲渡所得に課される税金で、所得税、住民税、復興特別所得税を合わせたものです。
譲渡所得税の計算方法は、以下のとおりです。
- 譲渡所得税=課税譲渡所得金額×税率
課税譲渡所得金額は、「収入−(取得費+譲渡費用)+特別控除」で算出できます。
・収入:不動産を売却して得る収入
・取得費:不動産を取得した際にかかった費用(購入金額、手数料、税金など)
・譲渡費用:不動産を売却する際にかかった費用(手数料、税金など)
・特別控除:3,000万円の特別控除の特例など
税率は、不動産の所有期間によって変わります。
不動産の所有期間 | 税率 | |
---|---|---|
短期譲渡所得 | 5年以下 | 39.63% |
長期譲渡所得 | 5年超 | 20.315% |
※税率には所得税、住民税、復興特別所得税が含まれます。
また、不動産を売却して損失が出た場合でも、損益通算を行う際には確定申告が必要です。損益通算とは、不動産所得の赤字を他の所得の黒字と相殺し、課税所得を減らすことで節税する仕組みです。
確定申告の期間は、通常2月16日から3月15日までです。確定申告が必要な場合は、期限を守るために早めに準備を整えましょう。
まとめ
不動産売却の流れを事前に理解しておくことで、売却プロセスをスムーズに進めることができ、貴重なチャンスを逃すことなく対処できます。信頼できる不動産会社とそうでない不動産会社を見極めることができ、より有利な条件での売却が可能です。
売却による利益が出た場合や、損益通算を行う場合には、確定申告が必要になります。期限内に手続きを行うためには、書類を早めに準備することが大切です。また、不動産売却には、予想以上の時間がかかることがあります。そのため、早めに動き出すことが重要です。
マンションや一戸建てなど不動産の売却を考えている方は、相場を確認し、一括査定サイトを利用して複数の不動産会社を比較してみましょう。
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