不動産売却にかかる税金とは?利用できる税金控除や納付方法などプロが解説

不動産売却にかかる税金とは

「不動産売却の際の税金が心配で、なかなか踏み出せない…」
「トラブルに巻き込まれたくないし、できるだけ税金は抑えたいけど、どうすればいいのかしら…」

不動産売却時の税金問題に不安を感じている方は多いのではないでしょうか。

複雑な税金のしくみに頭を悩ませるのは大変ですが、適切な対策を講じれば、税負担を最小限に抑えることができます。
ベテランのプロに相談することで、ベストな解決策を見出せるはずです。

今こそ、不動産売却の一歩を踏み出すチャンスです。

この記事では、不動産売却時の税金対策に関心のある方に向けて、

  • 不動産売却にかかる税金の基本知識
  • 賢明な売却を実現するための節税テクニック
  • 売却成功に導くプロの力の重要性

上記について、宅建士や不動産コンサルタントとして数多くの売却案件に携わってきた筆者の知見を交えて、わかりやすく解説しています。

税金の不安を抱えたまま、大切な資産を手放すのはもったいない。
ぜひこの記事を参考に、新たな一歩を踏み出す後押しにしてください!

当メディアは、不動産取引に関する法律を遵守し、株式会社ピアラ(東京証券取引所スタンダード 証券コード7044)が運営しています。また、宅地建物取引士の資格を有する専門家が監修のもと、不動産競売物件不動産所得不動産登記法などの最新情報も記事内に反映させています。

目次

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不動産売却には税金がかかる

不動産を売却する際には、残念ながら税金の支払いが発生します。
売却価格から必要経費を差し引いた利益に対して、所得税と住民税からなる譲渡所得税が課税されるのです。

しかし、税金の種類や計算方法を正しく理解することで、適切な納税と節税対策が可能になります。
売却手続きの際にかかる税金と、売却益に対する税金の2種類を把握することが大切だと言えるでしょう。

ここでは、不動産売却にかかる税金の基本的な仕組みについて、詳しく解説していきます。

不動産売却にかかる2種類(売却手続きと利益を得たとき)の税金

不動産売却には、大きく分けて2種類の税金がかかります。
1つは売却手続きの際に必要な税金、もう1つは売却によって利益を得た場合に課税される税金です。

売却手続きの際には、以下のような税金が発生します。

  • 印紙税
    売買契約書に貼る収入印紙にかかる税金です。不動産の売買金額に応じて、印紙税額が決まります。
  • 登録免許税
    不動産の所有権移転登記に必要な税金です。売買価格に応じて税額が変わりますが、売主と買主で負担割合を取り決めることが一般的です。
  • 不動産取得税
    不動産を取得した際にかかる税金ですが、通常は買主が負担します。ただし、契約内容によっては売主が負担することもあります。

一方、不動産売却で利益を得た場合は、譲渡所得税が課税されます。
これは、売却価格から取得費や譲渡費用を差し引いた利益に対して課される税金で、所得税と住民税から構成されています。

譲渡所得税の税率は、以下のように所有期間によって変わります。

  • 5年以下
    所得税30%、住民税9%、復興特別所得税0.63%の合計39.63%
  • 5年超
    所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%の合計20.315%

ただし、マイホームの売却など一定の条件を満たす場合は、3,000万円の特別控除が適用され、譲渡所得税が軽減される場合もあります。

このように、不動産売却では手続きの際と利益発生時の2種類の税金がかかることを理解しておく必要があります。
各税金の性質と計算方法を把握することで、適切な納税と節税対策が可能になるでしょう。

譲渡所得とは?

不動産を売却した際に生じた利益に対しては、譲渡所得税が課税されます。
この「譲渡所得」とは、資産の売却によって得た所得のことを指します。

土地や建物を売却するだけでなく、借地権や地上権などの権利を譲渡した場合も、譲渡所得に該当します。
譲渡所得は、毎年の所得税の確定申告で報告し、納税する必要があるのです。

譲渡所得の金額は、売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。
計算方法の詳細は次の項目で解説しますが、基本的な考え方は以下の通りです。

  • 譲渡所得 = 売却価格 - (取得費 + 譲渡費用)

この計算式に当てはめることで、課税対象となる譲渡所得の金額が求められます。

ただし、譲渡所得と言っても、全ての所得が一律に課税されるわけではありません。
以下のようなケースでは、税負担が軽減される特例があります。

  • 自宅(マイホーム)を売却した場合の3,000万円特別控除
  • 収用や買い換えによる譲渡の場合の5,000万円特別控除
  • 相続した空き家を売却した場合の3,000万円特別控除

このように、譲渡所得には様々な特例措置が用意されています。
税理士などの専門家に相談しながら、適用可能な特例を活用することで、賢く節税することができるはずです。

譲渡所得の基本的な仕組みを理解した上で、売却価格や取得費の正確な把握に努めることが肝要だと言えるでしょう。
適切な譲渡所得の申告と納税を行うことで、円滑な不動産売却が実現できます。

譲渡所得は売却価格から取得費・譲渡費を引いて計算

不動産の売却益に対して課税される譲渡所得税は、売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。
つまり、以下の計算式に基づいて譲渡所得の金額が決まるのです。

  • 譲渡所得 = 売却価格 - (取得費 + 譲渡費用)

それでは、この計算式に含まれる各項目について、具体的に見ていきましょう。

まず「売却価格」は、文字通り不動産を売却して得た代金のことです。
仲介手数料などを差し引く前の金額を指します。
売買契約書に記載された金額が、売却価格として扱われます。

次に「取得費」ですが、これは不動産を取得するために要した費用の総額です。
具体的には、以下のような費用が含まれます。

  • 不動産の購入価格
  • 購入時の仲介手数料
  • 不動産取得税
  • 登記費用
  • 建物の建築費用(自ら建てた場合)

古い不動産の場合、取得費の金額が不明なこともあります。
その場合は、国税庁が定める「概算取得費」を使って、取得費を計算することができます。

最後の「譲渡費用」は、不動産を売却する際に発生する費用のことです。
以下のような費用が譲渡費用に該当します。

  • 不動産仲介手数料
  • 測量費、不動産鑑定評価費
  • 売却に伴う補修費用
  • 売主が負担した印紙税や登録免許税

このように、譲渡所得の計算には様々な費用が関わってきます。
取得費と譲渡費用を適切に計上することで、課税対象となる所得を正確に求めることが重要です。

具体例を見てみましょう。
1,000万円で購入した不動産を、2,000万円で売却したケースを考えます。
取得費が200万円、譲渡費用が100万円だったとすると、譲渡所得の金額は以下のように計算されます。

  • 譲渡所得 = 2,000万円 -(1,000万円 + 200万円 + 100万円)= 700万円

この場合、700万円が課税対象の譲渡所得となります。
所有期間に応じて、所得税と住民税が課されることになるでしょう。

譲渡所得の計算は、税務の専門知識が求められる難しい領域だと感じる方もいるかもしれません。
しかし、計算の基本ルールを押さえておくことで、どのような費用が必要経費として認められるのかを判断できるはずです。
税理士など専門家に相談しながら、適切な申告を心がけることが賢明だと言えるでしょう。

不動産売却で利益を得た際の税金『譲渡所得税』|所得税と住民税

不動産を売却して利益を得た場合、その利益に対して譲渡所得税が課せられます。
譲渡所得税は所得税と住民税から成り立っており、利益額や所有期間などによって税率が変動します。

適切な節税対策を行うためには、譲渡所得税の仕組みを正しく理解することが大切です。
以下で、譲渡所得税の計算方法と注意点について詳しく解説していきます。

譲渡所得税とは?所得税と住民税で構成される税金

譲渡所得税とは、資産を売却して利益を得た場合にかかる税金のことです。
土地や建物などの不動産を売却した際の利益に対して課税されるのが一般的ですが、株式などの資産の売却にも譲渡所得税が適用される場合があります。

譲渡所得税は、所得税と住民税の2種類の税金から構成されています。
所得税は国に納める税金、住民税は都道府県と市区町村に納める税金です。
どちらも税率は同じで、合計して譲渡所得税となります。

譲渡所得税の税率は、短期譲渡所得と長期譲渡所得で異なります。
資産の取得から売却までの期間が5年以下の場合は短期譲渡所得、5年超の場合は長期譲渡所得として扱われ、長期譲渡所得の方が税率は低くなっています。

ただし、税率は一律ではなく、譲渡所得の金額に応じて段階的に設定されています。
また、特別控除や特例によって、譲渡所得税が軽減される場合もあります。

「税金の計算が複雑で、いくら納めればいいのかわからない・・・」
そんな不安を感じる方もいるかもしれません。
しかし、譲渡所得税の基本的な仕組みを理解することで、おおよその税額を把握できるはずです。
適切に税金を納めることは納税者の義務ですが、同時に有利な節税対策を講じる権利もあります。
譲渡所得税の仕組みを正しく理解し、賢明に活用していきましょう。

譲渡所得の計算方法|売却価格から取得費・譲渡費用を差し引いて求める

譲渡所得税は、資産の売却によって得た利益に対してかかる税金です。
その利益は「譲渡所得」と呼ばれ、以下の計算式で求められます。

譲渡所得 = 売却価格 - 取得費 - 譲渡費用

売却価格は資産を売却して得た金額、取得費は資産を取得するために要した金額、譲渡費用は資産を売却するために要した費用です。

取得費には、資産の購入価格だけでなく、購入時の仲介手数料や登記費用なども含まれます。
また、購入後に資産の価値を高めるために支出した改良費も取得費に含めることができます。
一方、資産を取得してから売却するまでの間にかかった固定資産税や都市計画税などは取得費に含めません。

譲渡費用は、資産を売却するために直接要した費用が対象となります。
具体的には、売却時の仲介手数料や測量費、売却に伴う修繕費などが譲渡費用として認められます。

譲渡所得の計算では、取得費と譲渡費用を売却価格から差し引くことで、資産の売却による実質的な利益を求めています。
単純に売却価格だけに着目するのではなく、資産の取得や売却にどれだけコストがかかっていたのかを考慮に入れるのがポイントです。

ここで、土地建物を売却した際の譲渡所得の具体例を見てみましょう。

  • 売却価格:5,000万円
  • 取得費:3,000万円(購入価格2,800万円+購入時費用200万円)
  • 譲渡費用:200万円(仲介手数料150万円+測量費50万円)

この場合、譲渡所得は以下のように計算されます。

5,000万円 - 3,000万円 - 200万円 = 1,800万円

売却価格5,000万円から、取得費3,000万円と譲渡費用200万円を差し引いた結果、譲渡所得は1,800万円になります。
この1,800万円に対して、所得税と住民税が課税されることになるのです。

「思ったより利益が少なくなってしまう・・・」
そんながっかり感を抱く方もいるかもしれません。
しかし、譲渡所得の計算方法を正しく理解していれば、売却価格だけでなく諸経費も含めてトータルで利益を把握できるはずです。
税務署に無用な税金を払わないためにも、譲渡所得の計算は慎重に行うことが大切だと言えるでしょう。

譲渡所得税の税率は所有期間によって変動|5年超の長期譲渡所得なら軽減税率が適用される

譲渡所得税の税率は、資産の取得から売却までの所有期間によって変動します。
具体的には、所有期間が5年以下の場合と5年超の場合とで、適用される税率が異なるのです。

所有期間が5年以下の場合、その資産の売却益は「短期譲渡所得」として扱われます。
短期譲渡所得には重めの税率が適用され、30%の所得税と9%の住民税、復興特別所得税0.63%がかかります。
トータルの税率は39.63%と、かなりの高水準だと言えるでしょう。

一方、所有期間が5年を超える場合は、「長期譲渡所得」として軽減税率の対象となります。
所得税は15%、住民税は5%、復興特別所得税0.315%に軽減され、合計の税率は20.315%となります。
長期譲渡所得の税率は、短期譲渡所得の約半分の水準まで下がるのです。

ただし、軽減税率が適用されるには、資産の売却が「譲渡所得の申告」によって行われる必要があります。
相続や贈与による資産の移転には、軽減税率は適用されません。
また、資産の売却目的が業者の業務に関連する場合も、軽減税率の対象外となります。

所有期間の違いによる税率の変動は、かなり大きな差を生みます。
5年を超えて資産を保有していれば、譲渡所得税を大幅に節約できる可能性があるのです。

具体的に見てみましょう。
先ほどの事例で、譲渡所得が1,800万円だったケースを想定します。
もし資産の所有期間が5年以下なら、短期譲渡所得として以下の税額がかかります。

1,800万円 × 39.63% = 約713万円

一方、所有期間が5年を超えていれば、長期譲渡所得として計算されます。

1,800万円 × 20.315% = 約366万円

なんと、347万円も税額が少なくなるのです。
資産の売却を検討する際は、所有期間を意識することが重要だと言えます。

「できるだけ税金は抑えたい・・・」
そう考える方は多いはずです。
しかし、タイミングを逃さずに長期譲渡所得の軽減税率を活用することで、手っ取り早く節税効果を得られるかもしれません。
資産の所有期間をうまく調整し、譲渡所得税の節税につなげていきたいものですね。

不動産売却で税金がかからないケース

不動産売却では多くの場合、譲渡所得税や住民税などの税金がかかります。しかし、特定の条件を満たせば、税金の負担を軽減したり、免除を受けたりすることも可能です。

不動産売却で税金がかからないケースを知っておくことで、無理のない資金計画が立てられるでしょう。税負担を抑えることが、新たなステージへのスムーズな移行につながるはずです。

ここでは、どのような場合に不動産売却の税金が軽減・免除されるのか、詳しく見ていきましょう。

自宅を売却して新たな住まいを取得する場合

自宅を売却して新しい住まいを購入する場合、一定の要件を満たせば最大3,000万円の特別控除が受けられます。この特例を利用するには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 売却物件に10年以上住んでいること
  • 売却から1年以内に新しい住まいを取得し、取得後2年以内に住むこと
  • 新しい住まいの床面積が50㎡以上あること

これらの条件を満たせば、売却価格から3,000万円を控除した金額に対してのみ税金がかかります。
例えば、1億円で自宅を売却し、8,000万円の新居を購入した場合、課税対象は1億円-3,000万円=7,000万円となります。7,000万円に対して譲渡所得税や住民税が課されるわけです。

3,000万円もの控除が受けられるのは、かなり大きな税制上のメリットと言えるでしょう。「住み替えを機に、少しグレードの高い家を買おうかな」というような場合にも、この特例を活用することで税負担を抑えられます。

ただし、この特例の適用を受けるには確定申告が必要です。
「売却代金は〇円で、譲渡費用は〇円でした」
「新居は〇円で、〇年〇月〇日に取得しました」
といった具合に、きちんと必要事項を記載した申告書を税務署に提出しなければなりません。
控除を受けられるか分からない、申告の手続きが面倒といった理由から確定申告をためらう方もいるかもしれません。しかし、税制上の恩恵を受けるためにも、きちんと手続きを踏むことが肝要です。

また、売却物件に住んでいた期間が10年に満たない場合でも、転勤や結婚などのやむを得ない事情があれば特例の対象になります。
「転勤が決まって急きょ家を売ることになったけど、特例は使えないのかな…」と心配する必要はありません。
このように、売主の実情に応じて柔軟に特例が適用されるのも大きな魅力と言えるでしょう。

相続で取得した空き家を売却する場合

相続したものの、管理が難しくて売却を検討している空き家。
そんな物件を処分する際にも、税制上の特例が用意されています。
一定の条件を満たせば、最大3,000万円まで譲渡所得税が軽減される制度があるのです。

相続空き家の3,000万円特別控除が適用されるのは、次のような場合です。

  • 相続により取得した空き家であること
  • 相続開始から3年10カ月以内に売却すること
  • 家屋が1981年5月31日以前に建築されたものであること

「相続したけど、遠方にあって管理が大変だし、リフォームもお金がかかる」
「できるだけ早く処分して、相続税の支払いに充てたい」
このように、相続空き家の売却を検討する方の多くは、速やかな現金化を望んでいるはずです。
その際に、譲渡所得税の負担が軽減されるのは非常に大きなメリットと言えるでしょう。

この特例を利用するためには、やはり確定申告が必要です。
相続開始から3年10カ月以内の売却であることを示す書類や、家屋が1981年5月31日以前に建築されたものであることを証明する書類の提出が求められます。
「相続が発生したのはもう3年以上前だから、特例は使えないんじゃないか」
「そもそも物件が基準を満たしているかどうか分からない」
と二の足を踏む方もいるかもしれません。
でも、少し手間をかけるだけで、相続空き家の売却による税負担を大幅に抑えられるのです。
専門家に相談しながら、特例の適用に向けてしっかり準備を進めていくことをおすすめします。

空き家の発生は社会問題にもなっています。
相続で取得した空き家を放置すれば、老朽化が進み、管理コストもかさんでいくでしょう。
「できるだけ早く処分したい」と思っても、譲渡所得税の負担が心理的なハードルになっているケースは少なくないはずです。
相続空き家の特例は、そんな「空き家処分の障壁」を下げる効果が期待できる制度だと言えます。
税制上の後押しを受けて、円滑な空き家の売却が進むことを願うばかりです。

不動産売却で利用できる税金控除・特例

不動産売却に伴う税金の負担は、売主にとって大きな関心事でしょう。
多額の税金を払わなければならないと思うと、不動産を手放すことに二の足を踏んでしまうかもしれません。

しかし、税制上のさまざまな控除や特例を上手に活用することで、税負担を大幅に軽減できる可能性があります。
ここでは、不動産売却の際に利用できる主な控除と特例について解説します。
自分に当てはまる制度を確認して、賢く不動産を売却しましょう。

所有期間10年超の物件の場合の軽減税率の特例

譲渡所得税は、所有期間によって税率が変わります。
不動産を売却した年の1月1日時点で所有期間が10年を超えている場合、税率が軽減される特例の適用を受けられます。

通常、不動産売却による譲渡所得税の税率は、所得税が15〜30%、住民税が5〜9%となっています。
しかし、10年超の長期保有物件の場合、所得税は一律10%、住民税は一律4%に軽減されるのです。

たとえば、所有期間が11年の不動産を1億円で売却し、2,000万円の利益が出たとします。
この場合、軽減税率が適用されるため、所得税は300万円(2,000万円×15%)、住民税は100万円(2,000万円×5%)に抑えられます。

もし短期保有物件だったら、利益の金額によって最大39%(所得税30%+住民税9%)の税率がかかるところです。
10年超の物件なら、それが一律20%に軽減されるわけですから、税負担が大きく下がります。

「高値で売れそうだけど、税金が心配で躊躇している」というケースでは、所有期間を意識するのも一案です。
10年の節目を超えるまで売却を待てば、税負担を抑えながら高値売却を狙えるかもしれません。

ただし、(税制はもちろん大切ですが)売却のタイミングは相場の動向によっても左右されます。
10年超を意識しつつも、市場環境を見極めながら総合的に判断することが肝要でしょう。

居住用財産の3,000万円の特別控除

自宅として使っていた不動産を売却する場合、最高3,000万円までの譲渡所得控除が受けられます。
この「居住用財産の3,000万円特別控除」は、かなりの節税効果が期待できる優遇制度と言えるでしょう。

控除を受けるためには、以下のような要件を満たす必要があります。

  • 自分の居住用財産として使用していること
  • 売却価格が1億円以下であること
  • 売却後2年以内に、自分が住むための家屋や土地を取得すること
  • 過去に、この特例の適用を受けていないこと

たとえば、8年間住んでいた自宅マンションを8,000万円で売って5,000万円の利益が出た場合、特例を使えば最大3,000万円が控除の対象となります。
つまり、5,000万円の利益のうち3,000万円は非課税となり、残りの2,000万円にのみ税金がかかる計算です。

3,000万円もの控除が適用されれば、節税効果は絶大です。
この特例を使わない手はないと言っても過言ではないでしょう。

「高額納税は避けたいけど、自宅を売るのは不安…」と思う人もいるかもしれません。
しかし、一定期間自宅として使っていた物件なら、この特例である程度の節税が可能です。
自宅売却を機に新しい住まいを購入する場合は、ぜひ活用したい制度だと言えます。

特定の居住用財産の買換え特例

自宅として使っていた不動産を売却し、新たに自宅を購入する場合、「買換え特例」が適用される可能性があります。
この特例を使うと、譲渡所得税の課税を売却や購入の年の翌年以後の3年間にわたって繰り延べることができます。

対象となるのは、以下の要件を満たすケースです。

  • 売却資金を、自分が住むための家屋や土地の取得資金に充てること
  • 新しい住まいへの入居が、旧物件の売却日から2年以内であること
  • 旧物件の売却価格が2億円以下、新物件の取得価格が1億円以上であること

特例の適用を受けると、譲渡所得税の納税が売却翌年から3年間先送りされるのがメリットです。
譲渡所得税の負担を一時的に軽減し、新居の購入資金を捻出しやすくするために設けられた制度と言えます。

たとえば、1億円の利益が出る自宅を売って1億5,000万円の新居を買う場合、特例を使わないと1億円の利益にまとめて課税されてしまいます。
しかし、買換え特例を適用すれば、その課税は3年間先送りできるのです。

「税金分を払ったら新居が買えない」といった事態を避けるには、この特例の存在を知っておく必要があります。
自宅の売却と新居購入を同時に進める場合は、特例の利用をぜひ検討してみましょう。

もっとも、特例を使っても税金そのものの納税額が減るわけではありません。
あくまで納税時期の繰り延べに過ぎないのです。
将来的に高額納税を迫られるリスクも踏まえて、財務状況を見極める慎重さは忘れずに。

相続空き家の3,000万円特別控除

親から相続した空き家を売却する際、最大3,000万円までの特別控除が受けられる制度があります。
「相続空き家の3,000万円特別控除」と呼ばれるこの特例は、平成28年4月から導入されました。
空き家問題の解消を促進する狙いがあるのだそうです。

控除の対象となる物件の条件は以下の通りです。

  • 相続により取得した被相続人の居住用家屋であること
  • 相続開始直前まで被相続人または同居していた親族が居住していたこと
  • 相続開始時から3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に売却すること
  • 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること
  • 相続時から売却時まで、居住またはその企図をしたことがないこと

たとえば、実家の古い家を相続したけれど、空き家になってしまっているケースなどが該当します。
このような物件を3年以内に売れば、最大3,000万円の控除が受けられるのです。

相続した空き家を放置すると、管理の手間だけでなく固定資産税などのコストもかかってしまいます。
「せっかく相続したのに、お金を払う側になるなんて…」と嘆く人もいるかもしれません。
でもこの特例を使えば、税金面でもお得に空き家の処分ができるのです。

「相続した古い実家、どうしよう…」とお悩みの方は、ぜひこの特例の利用を検討してみてください。
適用要件をクリアできるなら、税制面で大きなメリットを享受できるはずです。
不動産の専門家に相談して、スムーズな売却を目指しましょう。

譲渡損失が出た場合の税金控除・特例

不動産を売ったものの、売却価格が取得価格を下回り、譲渡損失が出てしまったらどうしよう。
そんな心配をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。

でも安心してください。
譲渡損失が出た場合でも、所得税の還付を受けられる可能性があるのです。
損失を他の所得と通算したり、翌年以降に繰り越したりできる制度が整っています。

たとえば、不動産売却で300万円の損失が出た年に、給与所得が500万円あったとします。
この場合、不動産の損失を給与所得から差し引いて、所得税の還付を受けることができるのです。
つまり課税所得は200万円となり、本来なら税金を払う側だったのが、逆に還付金を受け取れるかもしれません。

損失が出た年の所得だけでは通算しきれない場合は、翌年以降3年にわたって繰り越すこともできます。
たとえ売却で損をしたとしても、税制面でカバーされる仕組みがあるわけです。

ただし、適用対象となる不動産には制限があります。
自宅など居住用の不動産は原則対象外で、事業用や投資用の不動産に限定されます。
「社宅を売ったら損が出た!」といった場合は、通算の対象にはならないので注意が必要です。

「安値での売却を検討中だけど、損が出るのが怖い…」というお悩みをお持ちなら、ぜひ税理士さんに相談してみてください。
うまく制度を活用すれば、損失リスクを軽減しながら不動産売却に踏み切れるかもしれません。
キャピタルゲイン(譲渡益)を追求するだけでなく、キャピタルロス対策も考えておくことが大切ですね。

その他の控除・特例まとめ

不動産売却で使える控除や特例は、相続空き家や譲渡損失だけではありません。
どのような物件をどのようなタイミングで売るかによって、他にもお得な制度が利用できる場合があります。

その一例が、「居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の軽減税率」です。
売却物件が一定期間自宅として使われていた場合、譲渡所得税の税率が軽減されるのです。
具体的には、売却価格が6,000万円以下の部分は所得税10%・住民税4%の税率が適用されます。

また、「特定居住用財産の買換え特例」も見逃せません。
自宅を売って新しい住まいを取得する際の税負担を減らせる制度です。
一定の要件を満たせば、譲渡益への課税を繰り延べできます。

「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除」もあります。
被相続人が死亡前に老人ホームに住んでいた場合、自宅の売却益に最大3,000万円の控除が受けられるのです。
相続発生前でも、生前対策の一環として利用を検討する価値はあるでしょう。

このように、不動産売却では実に様々な特例が用意されています。
でもそれぞれ適用要件があり、 制度の組み合わせ方によって節税効果も変わります。
素人には分かりにくい部分も多いのが正直なところです。

「もっとお得に不動産を売りたい!」と思ったら、ぜひ専門家に相談してみてください。
税理士さんや不動産のプロが、あなたの置かれた状況を整理し、最適な節税プランを考えてくれるはずです。
適切なアドバイスを受けて、かしこく控除制度を活用しましょう。

不動産売却をした際の税金シミュレーション

不動産売却時の税金は一見複雑そうですが、基本的な仕組みを理解すれば、ある程度の試算は自分でもできるようになります。
売却価格や取得費、譲渡費用など必要な情報を揃えれば、おおよその税額を把握することが可能です。

自分で税金を概算できれば、売却による手取り額のイメージがつかみやすくなります。
予想外の税負担に驚くこともなく、資金計画を立てやすくなるでしょう。

ここでは、不動産売却時の税金計算の具体的な方法と、シミュレーションに役立つオンラインツールを紹介します。
ぜひ参考にして、賢く不動産売却の準備を進めてください。

不動産売却にかかる税金の計算方法

不動産売却時の税金計算は、以下の手順で行います。

  1. 収入金額(売却価格)を確定させる
  2. 取得費(購入価格+購入時の諸費用)を算出する
  3. 譲渡費用(売却時の諸経費)を洗い出す
  4. 譲渡所得を計算する(収入金額 – 取得費 – 譲渡費用)
  5. 特別控除を適用する(居住用財産の売却なら最大3,000万円)
  6. 課税長期譲渡所得を算出する(譲渡所得 – 特別控除額)
  7. 所得税・住民税を計算する(課税長期譲渡所得×税率)

この中で特に重要なのが、「取得費」と「譲渡費用」の算出です。
これらを適切に計上することで、譲渡所得を少なくし、税負担を抑えることができます。

例えば、マンションを3,000万円で購入し、諸費用として200万円を要した場合、取得費は3,200万円。
10年後に4,000万円で売却し、仲介手数料などの譲渡費用が300万円かかったとします。
この場合、譲渡所得は500万円(4,000万円 – 3,200万円 – 300万円)となります。

さらに、このマンションが居住用財産であれば、3,000万円の特別控除が適用できます。
その結果、課税長期譲渡所得はゼロとなり、譲渡所得税は発生しません。

このように税法上認められている特例を活用することで、税負担を大幅に軽減できる可能性があります。
一方で、特例の適用条件は複雑なため、税理士など専門家に相談して確認することをおすすめします。

不動産売却の税金シミュレーションに役立つオンラインツール

手計算で不動産売却時の税金概算をするのは大変ですよね。
でも安心してください。
簡単に税金シミュレーションができる便利なWebサービスがいくつもあります。

  • 国税庁の「譲渡所得の内訳書」作成コーナー
    国税庁のサイト内にある「譲渡所得の内訳書」の作成コーナーでは、譲渡所得税の計算を行えます。売却価格や取得費、譲渡費用などを入力すると、税額が自動計算されます。
  • 不動産査定サイトの税金計算機能
    マンションマーケットなど大手の不動産一括査定サイトの多くに、税金シミュレーション機能が備わっています。物件情報を入力するだけで、概算税額がすぐに分かります。
  • 銀行などの住宅ローン専用サイト
    住宅ローンを扱う銀行の中には、不動産売却時の税金シミュレーションコンテンツを設けているところもあります。ローン残債を考慮した税額計算ができて便利です。
  • 不動産会社のウェブサイト
    大手から地域密着型まで、多くの不動産会社が税金シミュレーターをウェブサイトで公開しています。地域性を加味した計算結果が得られるのが魅力です。

これらのツールを上手に活用すれば、簡単に税金のおおよその額を把握できるでしょう。
ただし、あくまで概算値に過ぎないことは意識しておきましょう。

実際の売却時には、物件の個別事情によって計算結果が変わることがあります。
節税のための特例適用の可否など、専門的な判断が求められるケースも多々あります。

税金シミュレーションはあくまで目安として活用しつつ、重要な局面では専門家にしっかりと相談することが大切です。
自分で調べた税務知識をベースに、プロの助言を参考にしながら、資産運用の方針を固めていきましょう。

不動産売却の税金はいつ払う?納付方法と納付時期を解説

不動産を売却した際にかかる税金の支払い時期は、税金の種類によって異なります。
譲渡所得税は売却した翌年の確定申告時に納付しますが、印紙税や登録免許税は売却手続きの際に納めます。

税金の支払い時期を把握しておくことで、計画的に資金を準備でき、スムーズに不動産売却を進められるでしょう。

ここでは、不動産売却にまつわる主な税金について、それぞれの納付方法と納付時期を詳しく見ていきます。

譲渡所得税は不動産売却翌年の確定申告時に税金を申告して支払う

不動産売却で利益が出た場合にかかる譲渡所得税は、売却した翌年の確定申告で納税額を計算し、申告・納付を行います。
例えば2024年中に不動産を売却した場合、譲渡所得税の申告と納付は2025年2月16日から3月15日までに行う必要があります。

確定申告では、以下の流れで譲渡所得税を計算し納税します。

  • 不動産売却による収入金額を算出
    売却代金から仲介手数料などの譲渡費用を差し引いて計算します。
  • 取得費を算出
    不動産の購入価格に購入時の仲介手数料や改修費用などを加えて計算します。
  • 譲渡所得金額を算出
    収入金額から取得費と特別控除額を差し引いて計算します。
  • 税率を乗じて納税額を計算
    所有期間に応じて税率を決定し、譲渡所得金額に乗じて納税額を算出します。

こうして計算した譲渡所得税は、確定申告書に記載して、金融機関や税務署で納付します。
期限までに申告と納付を済ませないと、延滞税が課されるため注意が必要です。

「税金の計算が難しそう」と不安に感じる方もいるかもしれません。
その場合は、税理士など専門家に相談するのも一つの方法です。
譲渡所得税の計算を税理士に依頼すれば、適切な申告漏れのない申告が可能になるでしょう。
安心して納税の義務を果たせるはずです。

印紙税・登録免許税・住民税の納付方法と納付時期

譲渡所得税以外にも、不動産売却に関連して納める必要がある税金があります。
ここでは、印紙税、登録免許税、住民税について、それぞれの納税方法をご紹介します。

  • 印紙税
    不動産売買契約書に課税される税金で、契約書作成時に印紙を購入して貼付することで納税します。
    印紙税額は契約金額によって異なり、最大で60万円です(2023年4月現在)。
    契約当事者双方で負担割合を決めて納税するのが一般的です。
  • 登録免許税
    不動産の所有権移転登記に課される税金で、登記申請の際に納付します。
    売主・買主の双方に納税義務があり、それぞれの持分に応じて按分して納めます。
    登録免許税の税率は不動産の種類や価格によって異なります。
    マイホームの売買では、売主側の税率は1000分の10、買主側は1000分の20が適用されるのが一般的です。
  • 住民税
    譲渡所得税と合わせて、翌年の確定申告で納税額が確定します。
    原則、確定申告から1~2か月後に住民税の納税通知書が自治体から届くため、指定された期限までに納付します。
    住民税の税率は、所得税と同じ税率が適用されます。

以上の税金は、それぞれ決められた時期に適切に納税する必要があります。
納税を忘れると延滞税が発生してしまうため、スケジュール管理をしっかり行いましょう。
不動産売却の際は、譲渡所得税だけでなく、これらの税金についても納税の義務があることを忘れないでください。

不動産売却の税金でよくある質問

不動産を売却する際の税金については、ケースによって異なる部分があるため、疑問や不安を感じる方も多いでしょう。
しかし、よくある質問に対する回答を知ることで、不動産売却時の税金への理解を深められるはずです。

売却物件の種類や所有形態、売主の属性などによって、税金の計算方法や特例の適用が変わってきます。
ここでは、相続物件や共有物件、法人所有物件など、特殊なケースにおける不動産売却の税金について解説していきます。

相続した不動産売却の税金はどうなる?

相続によって取得した不動産を売却する場合、通常の不動産売却と税金の計算方法が異なります。
相続した不動産を売却する際の税金は、「相続税」と「譲渡所得税」の2つが関係してきます。

まず、被相続人が亡くなった時点で、相続財産に対して相続税が課税されます。
土地や建物などの不動産を相続した場合、相続税の計算上、不動産の評価額が基礎となります。
不動産の評価額は、相続税路線価や固定資産税評価額などを基に算出されますが、必ずしも売却価格と一致するわけではありません。

そして、相続した不動産を売却して利益が出た場合は、譲渡所得税の課税対象となります。
税額は、売却価格から取得費(相続税評価額+相続税額)と譲渡費用を差し引いた金額に税率をかけて計算します。
ただし、被相続人の居住用財産を相続した場合は、「被相続人居住用家屋等確定申告不要制度」により、譲渡所得税が非課税となる場合もあります。
一定の要件を満たせば、最高3,000万円までの売却益について譲渡所得税が免除されるのです。

相続不動産の売却では、このように相続税と譲渡所得税の両方を考慮する必要があります。
税額計算が複雑になるため、不動産の相続税評価額をあらかじめ把握しておくことをおすすめします。
また、特例の適用要件も確認し、売却のタイミングを検討することが賢明だと言えるでしょう。

共有名義の不動産売却の税金はどうなる?

不動産を共有している場合、持分に応じて複数の所有者が存在します。
共有不動産を売却する際は、各共有者の事情によって、譲渡所得税の計算方法が異なるという特徴があります。

共有不動産を売却した際の譲渡所得税は、各共有者ごとに計算します。
売却価格を持分割合で按分し、各共有者の取得費と譲渡費用を差し引いて、それぞれの譲渡所得を算出するのです。
その上で、各共有者が個別に確定申告を行う必要があります。

また、共有者の一部が不動産を事業用として所有していた場合、譲渡所得の種類が変わってきます。
事業用不動産の売却益は原則として「事業所得」または「雑所得」として扱われ、土地の保有期間に応じて「長期譲渡所得」または「短期譲渡所得」となる一般の不動産売却とは異なる税率が適用されます。

加えて、共有者の中に税務上の居住者と非居住者が混在する場合は、非居住者の譲渡所得にも注意が必要です。
非居住者の不動産売却益については、原則として国内法に基づいて課税されますが、租税条約により課税が制限される場合もあるためです。

共有不動産の売却では、各共有者の事情を踏まえた適切な税額計算が求められます。
共有者全員の合意を得た上で、税理士など専門家に相談し、節税対策を検討するのが得策だと言えるでしょう。
共有者間の意思疎通を十分に図ることで、トラブルのない円滑な不動産売却につなげられるはずです。

法人が不動産売却時にかかる税金は?

法人が不動産を売却する場合、個人の不動産売却とは異なる税制が適用されます。
法人の不動産売却では、「法人税」と「消費税」が主な課税対象となります。

法人が不動産を売却して利益が出た場合、原則としてその売却益に法人税が課されます。
法人税の税率は、年間所得金額に応じて変動しますが、2023年4月現在の一般的な税率は23.2%です。(国税庁「法人税のあらまし」より)
売却による利益は、法人の各事業年度の所得金額に含めて計算されるため、他の所得と合算して法人税額が確定します。

ただし、法人が保有する不動産を売却して同種の不動産を取得する場合、「圧縮記帳制度」の適用により、法人税の課税を繰り延べできる可能性があります。
一定の要件を満たせば、売却益を損金経理することで、課税時期を売却年度以降に先送りできるのです。

また、法人の不動産売却では消費税も考慮する必要があります。
事業者が事業用として保有する不動産を売却する場合は原則として課税取引となり、売却価格に10%の消費税が上乗せされます。
ただし、法人間の不動産取引で一定の要件を満たせば、「免税事業者制度」により売主の消費税納税義務が免除される場合もあります。

法人の不動産売却では、このように複数の税制が関係してくるため、慎重な検討が求められます。
節税対策の適用可否を見極め、適切なタイミングで売却を実行することが重要だと言えるでしょう。
各事業年度の全体の所得金額も踏まえつつ、法人の財務状況に及ぼす影響を総合的に判断する必要があります。

海外不動産を売却したときの税金はどうなる?

海外に所有する不動産を売却した場合、日本の税制に加えて、現地国の税制にも配慮が必要です。
海外不動産の売却益には、原則として日本の譲渡所得税が課税されますが、二重課税の調整規定の適用により、納税額が軽減される可能性があります。

海外不動産の売却による所得は、売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いた金額で計算します。
この際、外貨建ての取得費と売却価格は、それぞれの時点での換算レートを用いて日本円に換算します。
そして、譲渡所得の金額に基づいて、確定申告により日本の所得税と住民税が課税されるのです。

ただし、日本と現地国の間で租税条約が締結されている場合、二重課税を排除するための調整規定が設けられています。
多くの租税条約では、不動産所得の課税権を所在地国に優先的に与える「不動産所得条項」が定められており、所在地国で課税された税額について、日本での外国税額控除の適用を受けられます。
つまり、現地国ですでに税金を納めていれば、日本で課税される税額からその金額を控除できるということです。

また、現地国の税制によっては、不動産売却の際の譲渡所得税が非課税となる場合もあります。
例えばアメリカの租税法では、一定の要件を満たした自宅の売却益について、最高25万ドルまで非課税となる規定が設けられています。(IRS Publication 523より)
現地国の非課税規定の適用可否を確認することで、日本での課税関係の判断に役立てられるでしょう。

海外不動産の売却では、このように現地国と日本の二つの税制を理解した上で、適切に確定申告を行う必要があります。
二重課税の調整規定を適用するためにも、現地国での課税証明書などの書類を整えておくことが欠かせません。
専門的な知識が求められるため、税理士など専門家に相談し、慎重に対応することが肝要だと言えるでしょう。

事業用不動産の売却にかかる税金は?

個人事業主や法人が、事業の用に供していた不動産を売却する場合、税務上の取り扱いが異なってきます。
事業用不動産の売却益は、原則として「事業所得」または「雑所得」として申告し、総合課税の対象となります。

事業用不動産の譲渡所得の計算方法は、一般の土地建物等の譲渡所得とは異なります。
売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いて計算する点は同じですが、取得費の算出方法が複雑になります。

事業用不動産の取得費は、減価償却費控除後の帳簿価額をベースに算定します。
減価償却費とは、建物など減価償却資産の取得価額を耐用年数にわたって費用化するための仕組みです。
売却時点の帳簿価額は、取得価額から減価償却費累計額を差し引いて求めます。

事業用不動産の所有期間が5年を超える場合は、売却益を分離課税の対象とする特例を選択できます。
事業所得や雑所得として申告する代わりに、「長期譲渡所得」として分離課税を選択できるのです。
税率は売却益の金額に応じて15%または30%の2段階となり、総合課税に比べて税負担が軽減される場合があります。

ただし、事業用不動産を売却して同種の不動産を取得する場合は、「買換特例」の適用により、課税を繰り延べできる可能性があります。
一定期間内に買換資産を取得し、手続きを行えば、譲渡益への課税を売却年分以降に先送りできるのです。

事業用不動産の売却では、このように複雑な税務処理が求められます。
取得時からの経理処理を適切に行っておくことが、円滑な譲渡所得の計算につながると言えるでしょう。
また、特例制度の適用を見据えて、計画的に不動産売買を進めていくことも重要だと考えられます。

まとめ:不動産売却の税金対策で失敗しない方法とは

今回は、不動産売却時の税金対策に関心のある方に向けて、

  • 不動産売却時にかかる税金の種類と仕組み
  • 税負担を軽減するための控除や特例措置
  • 不動産売却の成功に導く専門家の重要性

上記について、数多くの売却案件に携わってきた筆者の経験を交えながらお話ししてきました。

不動産売却には複雑な税金の問題が伴いますが、適切な対策を講じることで、税負担を最小限に抑えることができるのです。
早めの準備と専門家の力を借りることが、賢明な売却を実現する鍵となります。

いま、不動産売却に向けて一歩を踏み出そうとしているあなた。
これまで大切に守ってこられた資産を、新たなステージへと導くその決断は、とても尊いことだと思います。新たな一歩を踏み出すあなたを、心から応援しています。

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運営者[不動産売却セレクト編集部]

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物件の権利関係や法令上の制限を事前に確認し、関連法規を遵守しながら適切な手続きを進められるよう、不動産売却に関する正しい知識を発信してまいります。

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