不動産売却の平均期間はどれくらい?長引く原因も詳しく解説

不動産売却の平均期間

「住宅ローンの返済がまだ残っているけれど、不動産を売却して資金を確保したい…」
「老後の生活資金が心配だから、少しでも高く、早く売却したいけど、どうしたらいいのかな…」

このようなお悩みを抱えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

不動産の売却期間が長引けば、その間の返済や管理費用など、売主の負担は増大します。
しかし、適切な売却戦略を立てれば、平均的な売却期間を大幅に短縮できるのです。

今こそ、早期売却に向けて一歩を踏み出すときです。
新しい人生の始まりに向けて、スムーズな不動産売却を実現しましょう。

この記事では、以下の3点について解説しています。

  • 不動産売却の平均的な期間と、それが変動する要因
  • 売却期間が長引くデメリットと、長期化したときの対処法
  • 早期売却のためのポイントと、不動産売却の一般的な流れ

不動産売却のプロとして、売主様に寄り添った売却活動を行ってきた筆者が、経験を交えてお伝えします。
早期売却の秘訣を知って、新生活に向けた一歩を踏み出してください。

当メディアは、不動産取引に関する法律を遵守し、株式会社ピアラ(東京証券取引所スタンダード 証券コード7044)が運営しています。また、宅地建物取引士の資格を有する専門家が監修のもと、不動産競売物件不動産所得不動産登記法などの最新情報も記事内に反映させています。

目次

不動産売却にかかる平均期間とは?

不動産売却にかかる平均的な期間は、物件の種類や立地、価格帯によって異なりますが、一般的には3〜6ヶ月程度が目安と言われています。
しかし、この平均期間はあくまでも目安であり、ケースバイケースで大きく変動します。

売却期間が平均より長引くと、住宅ローンの返済や管理費用など売主の負担が増大するため、できるだけ早期の売却が望ましいと言えるでしょう。
ここでは、不動産売却の平均期間について、具体的な目安と共に詳しく解説していきます。

不動産売却の平均期間は3〜6ヶ月程度が目安

不動産の売却期間は物件によってバラつきがありますが、一般的にはおよそ3〜6ヶ月程度が平均的な期間だと言われています。
ただし、これはあくまでも目安であり、スムーズに売却できるケースもあれば、1年以上かかってしまう例もあるのが実情です。

売却期間の目安を物件タイプ別に見てみると、以下のような傾向があります。

  • マンション
    平均2〜3ヶ月程度。立地や価格帯にもよるが、需要が高く、比較的早く売却できるケースが多い。ただし、築年数が経過している物件は売却までに時間を要することも。
  • 一戸建て
    平均3〜6ヶ月程度。マンションに比べると売却までに時間がかかる傾向にある。立地条件や間取り、築年数などの影響を受けやすい。
  • 土地
    平均3ヶ月〜1年以上。売却期間のばらつきが大きい。都心部の土地は需要が高く早期売却のケースもあるが、郊外の土地は買い手が限定的で時間を要することが多い。

また、売却期間を左右する重要な要因の一つが、売り出し価格の設定です。
売却事例や相場を参考に、適正な価格を設定することが、早期売却のカギを握ると言えるでしょう。

  • 売り出し価格が高すぎると、買い手がつきにくくなり、売却期間が長引く可能性が高い。
  • 逆に安すぎる価格設定は、売主にとって不利な取引になるリスクがある。

不動産の売却価格の相場は、国土交通省の「不動産取引価格情報」や、公益財団法人東日本不動産流通機構の「首都圏不動産公正取引協議会」などで確認できます。
複数の不動産会社から査定を取り、各社の価格設定を比較するのも良い方法です。

このように、不動産の売却期間は物件の種類や立地、価格帯によって大きく異なります。
早期売却のためには、適正な価格設定と、物件の魅力を最大限に引き出すことが重要だと言えるでしょう。
不動産のプロに相談しながら、売却戦略をしっかりと練ることが、スムーズな売却につながるはずです。

不動産売却が平均期間より長引くのはなぜ?長期化の原因とは

不動産の売却期間が平均より長引いてしまう原因はいくつかあります。
売却金額の設定ミスや売り出し時期の問題、物件の条件不利など、売主側の要因が考えられます。

一方で、住宅ローンの残債があったり、不動産会社の営業不足や媒介契約のズレなど、売主だけでは解決しづらい原因もあるでしょう。
早期売却のためには、これらの長期化要因を正しく理解することが大切です。

以下で、売却期間が平均より長引く6つの原因について詳しく解説していきます。

売り出しに出す金額が高い

不動産売却が長引く最大の原因は、売り出し価格の設定ミスだと言えます。
「この位の価格じゃないと売りたくない」と思うのは売主の心情として理解できますが、市場価格から乖離した高値では買主がつきにくいのが実情です。

たとえば、都心のワンルームマンションの相場が2,000万円前後だとします。
それなのに、「新築時の金額は3,000万円だったから、2,800万円は欲しい」と言って売り出したとしたら、買主から見れば割高感は否めません。
いくら立地条件が良くてもそこまでの価値はない、と判断されてしまうかもしれません。

適正価格を把握するには、近隣の成約事例を参考にするのが一般的です。
国土交通省が公表している「不動産取引価格情報」で、同じ地域の物件種別ごとの売買履歴をチェックできます。
直近1年以内の成約価格と比べて、同等またはやや低めの価格設定なら、買主の関心を集めやすいはずです。

  • まずは相場観を養う
    売却予定のエリアで、自分の物件と同じタイプがどの位の価格帯で取引されているのかを把握しましょう。その上で、自分の物件の個別事情を加味して、現実的な売却価格を検討します。
  • 不動産会社の意見を聞く
    経験豊富な不動産会社の担当者なら、売主の希望と市場の現実とのバランスを見極められるはずです。複数社に査定を依頼して、売却価格のアドバイスをもらうと参考になります。

高値を望むあまり、売れない物件を長く抱え込むのは得策とは言えません。
早期売却のためには、潜在的な買主の心理を意識した価格設定が肝心だと心得ておきましょう。

閑散期に売却を開始している

売却開始のタイミングを誤ると、不動産売却の期間が平均より長引く可能性があります。
特に、市場の活動が鈍る時季に売り出すのは避けたいものです。

一般に、12月から1月にかけての年末年始は不動産取引の閑散期と言われています。
買主側は休暇のシーズンを控えているので、物件探しどころではないのです。
「売り出したは良いけれど、内覧の申し込みがほとんどない」といったケースも珍しくありません。
せっかくの売却チャンスを逃してしまうことになりかねません。

3月も、不動産売買にとってはややデッドシーズンと言えます。
人事異動や転勤が控える時期なので、自宅購入の優先順位が下がる買主が多いのです。
加えて、4月からの消費増税前の駆け込み需要で市場が一時的に冷え込む懸念もあります。
売り出し時期としては不利なタイミングかもしれません。

反対に、春から夏にかけては、引っ越しや住み替えのニーズが高まりやすい時季です。
4月の入学・入社、7月の人事異動など、ライフステージの切り替わりを機に、物件を探す人が増える傾向にあります。
この好機を見逃さずに、効果的な売り出しを図りたいものです。

  • ベストシーズンを狙う
    不動産売買のピークは例年4〜5月と7〜8月。この時期に売却活動を集中させれば、広く買主候補にアピールできます。
  • 年末年始は控えめに
    12〜1月に新規売却を仕掛けても、あまり手応えは期待できません。売り出し価格を引き下げるなど、市場の反応を見ながら慎重に進めましょう。

不動産を売却する際は、世間一般の生活スケジュールに合わせる感覚が大切です。
市場ニーズが高まるタイミングを見計らって売り出すことが、早期売却への近道と言えるでしょう。

物件条件がよくない

「見せ方を工夫すれば、そのうち良い買主が見つかるはず」と期待するのは、売主としては自然な心情かもしれません。
しかし、物件の条件が良くなければ、買主の目に留まりにくいのが現実です。
その結果、不動産売却の期間が平均より長引いてしまうことになります。

たとえば、駅から徒歩15分以上かかる立地条件は、大半の買主にとってネックになります。
都心への通勤時間が1時間を超えるような郊外物件も、需要は限定的だと言わざるを得ません。
「建物の古さは気にならない」と割り切れる買主ばかりではないでしょう。
新耐震基準を満たさない築年数の物件は、住宅ローンを組みにくいというハードルもあります。

建物の向きや間取りの使いづらさ、日当たり・眺望の悪さなども、買主の購買意欲を削ぐ要因です。
たとえ心理的瑕疵がなくても、物理的な制約で選ばれにくい物件は少なくありません。
「資産価値が下がるかもしれない」と二の足を踏む買主が多いのも無理はないのかもしれません。

物件の条件不利を補うには、価格面でのインセンティブが有効と言えます。
割安感のある価格設定なら、多少の制約は受容できると判断する買主もいるはずです。
広告やチラシでの見せ方を改善することで、物件の短所が目立たなくなるという側面もあります。
条件不利を跳ね返すだけの売却戦略を練ることが、早期売却のカギを握ります。

  • 価格を調整する
    立地や建物の条件不利を価格で埋め合わせるのが合理的です。少し背伸びしても購入したくなる価格の物件は、売却活動が有利に運びやすいものです。
  • 広告を強化する
    物件の魅力を引き出す写真の使用や、周辺環境の利便性をアピールする広告文句など、不動産会社のプロならではの視点を活用しましょう。潜在的な買主の関心を引く広告展開が功を奏することもあります。

物件の条件不利は宿命とも言えますが、売却価格と広告手法の工夫である程度はカバーできます。
制約をプラスに変える逆転の発想こそが、スムーズな不動産売却への秘訣と言えるでしょう。

住宅ローンの残債がある

不動産を売却する際、住宅ローンの残債があると、思うように話が進まないことがあります。
買主が購入資金をローンに頼る場合、既存の住宅ローンを精算できないと売買契約が結べないからです。
残債が嵩んでいると、売主に資金的な余裕がなく、売却期間が平均より長引く原因にもなりかねません。

たとえば、3,000万円のマンションを売却予定で、住宅ローン残高が2,000万円あるとします。
しかし現時点での不動産査定では、2,500万円程度の価値しかないと判定された場合、500万円を自己資金で用意しなければ売却できません。
ローン負担に加えて、数百万円の持ち出しが必要となれば、すんなりとは物件を手放せないでしょう。
「値上がりを待つしかない」と売却を躊躇する売主も少なくないはずです。

任意売却のように、差し押さえを回避するための売却であれば、時間的な猶予はあまりありません。
ローン返済の延滞が続けば、金融機関から法的措置を取られる可能性も出てきます。
「このままでは住宅ローン会社に物件を取られてしまう」という切迫した状況では、思うような価格では売れないかもしれません。
売主にとって厳しい選択を迫られることになりそうです。

住宅ローンが残っている場合の不動産売却では、以下の選択肢が考えられます。

  • 売却益で完済する
    売却価格が住宅ローン残高を上回れば、売却代金から残債を一括返済できます。ただ、物件価値が下落しているケースでは、この選択肢は現実的とは言えません。
  • 自己資金を投入する
    売却価格が残債に満たない場合、差額を自己資金で補填することになります。手元資金に余裕がない売主にとっては、かなりの負担となるでしょう。
  • 短期融資を利用する
    不動産売却専門の金融機関から、つなぎ融資を受けるという手もあります。売却代金で融資を返済できる目途が立てば、申し込みできる可能性があります。

いずれにしろ、住宅ローン残債がある不動産売却では、資金計画を綿密に立てることが欠かせません。
金銭的な障害を乗り越える知恵と工夫こそが、円滑な物件売却への鍵と言えるでしょう。

不動産会社が積極的に営業していない

「値下げは考えられない」「高値売却にこだわりたい」という売主の意向を尊重するあまり、不動産会社の営業活動が低調になることがあります。
売り出し価格が適正でなければ、現実の取引価格とのギャップが広がって、買主候補が納得しない事態にもなりかねません。
結果として不動産売却の期間が平均より長引くというのは、売主にとって悔やまれる事態と言わざるを得ません。

「頑張って営業してくれている」という実感が持てない不動産会社との取引は、正直なところ心もとないものです。
たとえば、買主候補の反応について、こまめに報告を受けられていないと感じる売主は少なくないはずです。
内覧の申し込み状況や、買主の生の声といった情報共有がなければ、売却活動の手応えを掴みにくいのは確かです。
「本当に売却できるのだろうか」と不安を抱えたまま、漫然と時間だけが過ぎていく。そんな状況に陥りかねません。

また、買主候補への対応が後手に回っているケースもあるかもしれません。
物件資料の提供が遅れたり、現地案内の日程調整がなかなかつかないなどの状況が続けば、買主の購買意欲が削がれてしまうのは必至です。
「もっとこまめに連絡を取って欲しい」「スケジュール優先で動いて欲しい」という売主の要望に、不動産会社がきちんと応えられていないことの表れでしょう。
こうした営業不足は、円滑な売却活動を阻む大きな要因となってしまいます。

売主と不動産会社が二人三脚で取り組めなければ、早期の不動産売却は望めません。
売主の希望と、不動産会社の営業方針にズレがあるなら、方向性を再確認する必要があるはずです。
場合によっては、他の不動産会社に売却活動を依頼し直すことも視野に入れたいものです。

  • 報告を求める
    買主候補の反応や、売却活動の進捗状況について、不動産会社に定期的な報告を求めましょう。「今の活動方針で良いのか」を確かめることで、問題点を早めに洗い出せます。
  • 媒介契約を見直す
    専任媒介契約を結んでいるなら、一般媒介への切り替えを検討してみるのも一案です。複数の不動産会社に売却活動を委ねることで、より幅広いアプローチが期待できるかもしれません。

売主と不動産会社の連携なくしては、スピーディーな不動産売却は難しいと言えます。
「任せきりにしない」「妥協しない」。そんな売主の積極性が、不動産会社の頑張りを引き出すことにつながるはずです。

適正な媒介契約を結んでいない

不動産を売却する際、依頼する不動産会社との間で「媒介契約」を交わすのが一般的です。
この契約内容が不適切だと、思うような売却活動が望めず、売却期間が平均より長引く原因になりかねません。

たとえば、「専属専任媒介契約」を結んでいるのに、売却活動が低調というケースは珍しくありません。
この契約では、1社の不動産会社に売却活動を任せ切りにするので、他社に販売を依頼することはできません。
万が一、契約先の不動産会社の営業が不熱心だと、せっかくの売却チャンスを逃してしまう可能性もあります。
「この会社に頼んで大丈夫だろうか」と、選択を誤ったことを後悔する売主も少なくないはずです。

一方、「一般媒介契約」なら、複数の不動産会社に同時に売却活動を依頼できるのがメリットです。
それぞれの会社の営業力を競わせることで、買主候補の発掘が進むことも期待できます。
ただ、最終的に成約した不動産会社にだけ媒介報酬を払えば良いので、売主の金銭的な負担も軽減されるでしょう。
早期の売却を目指すなら、媒介契約の選択肢として有力と言えそうです。

ちなみに、「専任媒介契約」は専属専任媒介契約ほどは縛りが厳しくありません。
契約先の不動産会社以外でも、売主自身の営業活動は認められているのです。
とはいえ、媒介報酬は売主自身が売却した場合でも発生するので、一般媒介契約と比べるとやや不利かもしれません。
売却活動の自由度と報酬負担のバランスを勘案して、媒介契約の形態を選ぶ必要がありそうです。

不動産の売却を有利に進めるコツは、以下の2点に集約できます。

  • 一般媒介を活用する
    複数の不動産会社に競わせることで、買主候補の発掘を促進しましょう。それぞれの会社の営業力を引き出すことが、早期売却への近道になるはずです。
  • 契約内容を吟味する
    媒介契約書に目を通し、報酬体系や売主の義務などをしっかり確認しておくことが大切です。曖昧な契約のまま売却活動を進めると、後々トラブルに発展するリスクもあります。

媒介契約は不動産売却の要と言えます。契約内容を吟味し、売却活動の自由度を確保することが、スムーズな物件売却を後押しするでしょう。

以上の6つの原因が複合的に絡み合うことで、不動産売却の期間は平均より大幅に長引く可能性があります。
しかし、売却の阻害要因を事前に把握し、適切な対策を打つことで、このリスクを最小限に抑えられるはずです。
「高値売却」という理想と、「早期売却」という現実の両立こそが、不動産を手放す際の究極の目標と言えるでしょう。

不動産売却が平均期間より長引いたときのデメリット

不動産売却の平均的な期間は早くても2〜3ヶ月と言われていますが、思うように買い手が見つからず売却が長引くケースは少なくありません。
売れ残ることで、売主にとって様々なデメリットが生じる可能性があります。

不動産が売れない状態が続くと、金銭的にも精神的にも大きな負担になるでしょう。
ここでは、売却期間が平均より長引くことで起こりうる3つの問題点を詳しく解説します。

「売れ残りの物件」と悪い印象を与える

不動産の売却期間が長引くほど、市場に出ている物件は「売れ残っている」という悪いイメージを持たれやすくなります。
「何か問題があるのでは?」「値段が高すぎるのでは?」といった疑念を抱かせてしまうのです。

実際には物件に大きな欠陥がなくても、長期間売れないことが心理的なマイナスイメージを与え、買い手が敬遠するきっかけになり得ます。
「売れ残り」のレッテルを貼られることで、売却がますます難しくなってしまう悪循環に陥るリスクがあるのです。

具体的な事例を挙げましょう。
都心のワンルームマンションを売却しようとしていたAさん。
当初の売り出し価格では3ヶ月経っても買い手が見つからず、売れ残ってしまいました。
「この物件は売れない物件なのかも」と不動産業者から言われ、Aさんは価格を大幅に下げざるを得なくなったのです。
結局、想定よりも200万円も安い価格で売却することになってしまいました。

このように、早期の売却を意識することは、不動産売却を有利に進めるために重要だと言えるでしょう。

資産価値が下がるため値下げの可能性がある

一般的に、不動産の資産価値は経年で下がっていく傾向にあります。
そのため、売却までの期間が長引けば長引くほど、不動産の価値が目減りしていくリスクが高まります。
当初の予定価格では売れなくなり、思わぬ値下げを迫られる可能性があるのです。

資産価値の目減りは、家の老朽化や周辺の市場動向など、様々な要因によって起こります。
例えば、売り出してから1年が経過した戸建て住宅では、その間の自然劣化によって資産価値が下がっているケースが考えられます。
また、最初に売り出した時と比べて、物件の需要や相場が下がっている可能性もあるでしょう。

このような状況では、当初の希望価格を下げざるを得なくなるかもしれません。
売主にとって、思惑通りの価格で売却できないのは大きな痛手と言えます。

売却期間が長引いた実例を見てみましょう。
郊外の戸建てを売りに出したBさん。
当初の売り出し価格は3,000万円でしたが、なかなか買い手が見つかりませんでした。
1年が経過した頃、同じ地域の物件相場が下がり、さらに家の老朽化も進んでいました。
不動産業者から「2,500万円程度でないと厳しい」と告げられ、Bさんは500万円の値下げに同意せざるを得ませんでした。

適正価格を見極め、スピード感を持って売却活動を行うことが、不動産の資産価値を守ることにつながるはずです。

不動産会社に後回しにされてしまう

多くの不動産会社にとって、売れそうもない物件にはなるべく時間をかけたくないものです。
そのため、他の物件に比べて売れる見込みが低いと判断されると、営業活動の優先順位が下がってしまう可能性があります。

「この物件は売りにくいから」と不動産会社に判断されてしまうと、十分な営業活動をしてもらえない恐れがあるのです。
宣伝が手薄になり、現地案内の回数も減るなど、売却活動が低調になってしまうことが予想されます。

さらに、専任媒介契約を結んでいたとしても、不動産会社のやる気が落ちれば売却は難航するでしょう。
「積極的に売ろうとしてくれない」と感じる売主は多いのではないでしょうか。

実際にこんな事例もあります。
築20年の中古マンションの売却を依頼したCさん。
当初は不動産会社の営業マンも熱心に取り組んでくれていましたが、3ヶ月経っても買い手が見つからないと、徐々に連絡が減っていきました。
結局、1社目の不動産会社とは専任媒介契約を解除し、別の会社に売却活動を委ねることになったそうです。

不動産会社との良好な関係を保ち、売却活動を優先的に行ってもらうためにも、平均期間内の売却を目指すことが肝要だと言えるでしょう。

不動産売却が平均期間より長期化したときの対処法

不動産の売却が予定より長引いてしまうと、住宅ローンの返済や物件の維持管理にかかる費用負担が重くのしかかってきます。
「このまま売れ残ってしまうのでは…」と不安を感じる方もいるかもしれません。

でも、焦りは禁物です。
売却が長期化した時こそ、適切な対処法を知ることが大切。
あなたに合った売却のタイミングをつかみ、不動産会社の力も上手に活用することで、きっと良い結果につながるはずです。

ここでは、不動産売却が平均より長引いてしまった場合の、具体的な打開策を3つ解説していきます。

不動産が売れやすいタイミングに売却する

不動産売却には、需要が高まる季節があります。
多くの人が引っ越しを考える春先や秋口は、不動産の売れ行きが良くなる傾向にあるのです。
特に3月から5月にかけては、異動や進学シーズンと重なるため、購入希望者が増える時期と言えるでしょう。

一方で、お盆や年末年始は閑散期。
この時期に売り出しても、なかなか買い手がつかない可能性が高くなります。
「今すぐにでも売却したい」という事情がない限り、需要が見込める時期まで待つのが得策と言えます。

また、市場動向を見極めることも大切です。
金利の変動や税制の改正など、不動産を取り巻く経済環境の変化に注目しましょう。
市場に追い風が吹いているタイミングを狙うことで、よりスムーズな売却が期待できるはずです。

マイホーム売却の最適なタイミングは、人それぞれ異なります。
あなたのライフプランに合わせて、無理のない売却時期を見定めることが何より大切。
「今が売り時!」と思えたら、躊躇せずに行動に移してみてください。

不動産会社に不動産を買い取ってもらう

「売却活動を続けても買い手が見つからない…」
そんな時は、不動産の買取サービスを利用するのも1つの手段です。
買取を依頼すれば、面倒な売却作業は不動産会社に任せられますし、現金化までのスピードも格段に早くなります。

ただし、買取価格は一般的な売却価格よりも安くなる傾向があるので注意が必要です。
不動産会社は利益を出す必要があるため、市場価値よりも低めの価格を提示してくることが多いのです。
「今よりも高く売れるはず」と感じるなら、買取を選ぶのは賢明とは言えないでしょう。

とはいえ、買取のメリットが大きい場合もあります。
例えば、老朽化が進んで大規模なリフォームが必要な物件や、立地条件が良くない物件は買い手がつきにくいもの。
そうしたケースでは、買取を利用した方が、トータルでの手間とコストを抑えられる可能性が高いのです。

金銭的な事情で早期売却を望む場合も、買取は有効な選択肢と言えるでしょう。
住宅ローンの返済に追われて売却が急がれる時など、多少の値引きは覚悟の上で、買取サービスを活用するのも1つの方法です。

不動産の買取は、売主の事情に合わせて柔軟に選択できる売却方法。
物件の状態や売却の緊急性を考慮しつつ、複数の不動産会社から買取価格を提示してもらうことをおすすめします。
その上で、メリットとデメリットを天秤にかけて、最善の選択をしてみてはいかがでしょうか。

不動産会社を変更する

「この不動産会社で本当に売却できるの?」
そんな不安を抱えている方も少なくないはず。
不動産会社の対応に満足できないなら、思い切って他社に売却活動を依頼してみるのもよいかもしれません。

不動産会社の変更を検討すべきケースとしては、以下のような場合が挙げられます。

  • 問い合わせや内見への対応が遅い
  • 買い手候補への営業活動が不十分
  • 売主の要望を踏まえた売却戦略が立てられていない
  • 担当者の説明が不親切で信頼できない

このように不動産会社の対応に不信感を持ったら、まずは担当者にしっかりと改善を求めることが大切です。
それでも状況が好転しないようなら、別の不動産会社に依頼するのも選択肢の1つ。
「この会社では売れない」と感じたら、早めに見切りをつけることが賢明と言えるでしょう。

ただし、媒介契約の途中で不動産会社を変更すると、一定の違約金が発生するケースがほとんど。
その点は事前に確認しておく必要があります。
また、複数の不動産会社に売却活動を依頼する「一般媒介」の契約形態なら、いつでも自由に他社へ乗り換えられるので安心です。

不動産会社選びのポイントは、売主の個別事情に合わせたサポート力の高さ。
過去の販売実績や売却までのスケジュール感など、複数の会社の提案を比較検討することが大切です。
「この人になら売却を任せられる」と納得できる不動産会社と巡り合えれば、きっとあなたの不動産も早期に良い条件で売却できるはず。
理想の不動産会社を見つけて、安心して売却活動を任せてみてください。

不動産売却の流れを4STEPで解説

初めて不動産を売却する際は、何から始めたらいいのか戸惑う方も多いかもしれません。不動産売却は複雑なプロセスに思えますが、大まかな流れを理解しておけば、スムーズに進めることができるはずです。

不動産売却の一般的な流れは、おおよそ4つのステップに分けられます。物件の査定から媒介契約、買主との売買契約、そして最後の引き渡しまで、各ステップの内容をしっかり把握しておくことが肝心です。

これから、不動産売却の基本的な流れを4つのSTEPに分けて、それぞれの段階で必要な手続きや注意点について詳しく解説していきます。

STEP1.不動産の価格査定を出す

不動産売却の第一歩は、売却予定の物件の価格を把握することから始まります。不動産の価格査定とは、物件の市場価値を専門家が評価することを指します。適正な売却価格を知るために、信頼できる不動産会社に査定を依頼することが不可欠です。

具体的な査定の流れは以下の通りです。

  • 不動産会社の選定
    まずは売却を依頼する不動産会社を決めましょう。複数の会社に査定を依頼し、提示された査定価格や担当者の対応を比較検討することをおすすめします。査定は無料で行っている会社がほとんどなので、気軽に依頼できるでしょう。
  • 現地調査の立ち合い
    査定の際は、不動産会社の担当者が売却物件の現地調査を行います。間取りや設備の状態、周辺環境などを詳しくチェックし、物件の特徴を把握します。現地調査には立ち会うようにしましょう。物件の良い点をアピールすることで、少しでも高い査定価格を引き出せる可能性があります。
  • 査定結果の確認
    現地調査の後、不動産会社から正式な査定結果が提示されます。近隣の取引事例などを参考に算出された査定価格の根拠について、しっかりと説明を受けることが大切です。査定価格に納得できない場合は、再査定を依頼することも可能です。

適正な査定価格を把握することは、その後の売却活動を有利に進めるための第一歩と言えるでしょう。
しかし、あくまで査定価格は物件の市場価値であり、実際の売却価格を保証するものではありません。
査定価格より安く販売せざるを得ない場合や、逆に思いがけず高値で売れることもあります。
市況の変化に応じて柔軟に対応する姿勢を持つことも重要だと覚えておきましょう。

STEP2.不動産会社と媒介契約を結ぶ

不動産の価格査定が済んだら、いよいよ不動産会社と正式な媒介契約を結ぶ段階です。
媒介契約とは、不動産の売却活動を不動産会社に依頼する契約のことを指します。
売主と不動産会社の間で結ばれるこの契約には、以下のような重要な項目が含まれています。

  • 媒介の種類
    「専任媒介」か「一般媒介」かを選択します。専任媒介は1社の不動産会社に売却活動を任せる契約形態で、一般媒介は複数の会社に依頼できる契約形態です。専任媒介の方が売却活動に注力してもらえるメリットがある一方、一般媒介は幅広く買主を探せるメリットがあります。
  • 契約期間
    媒介契約の有効期間を取り決めます。通常は3ヶ月程度が目安とされていますが、売主の希望に合わせて柔軟に設定できます。あまり短いと売却活動が不十分になる恐れがありますし、かといって長すぎると売れ残りのリスクもあるので、熟考して決めましょう。
  • 媒介手数料
    不動産会社への報酬となる媒介手数料の料率を確認します。媒介手数料は売却価格の3〜5%程度が一般的で、物件の価格帯によって異なります。手数料の料率はあらかじめ定められていますが、契約書にしっかりと明記されているか確認が必要です。
  • 売却価格の決定
    媒介契約時に、売主の希望を基に売出価格を決定します。査定価格を参考にしつつ、売主の事情も考慮して無理のない価格設定をすることが賢明です。売出価格は後から変更することも可能ですが、安易な値下げは買主の購買意欲を削ぐ恐れもあるので注意が必要です。

媒介契約を結んだら、いよいよ不動産会社主導で本格的な売却活動が始まります。
ここで大切なのは、売主と不動産会社の間で綿密なコミュニケーションを取ることです。
売却活動の進捗状況を定期的に確認し、買主の反応や市況の変化に臨機応変に対応していくことが求められます。
信頼できる不動産会社を選び、良好な関係を築くことが成功の鍵を握ると言えるでしょう。

STEP3.買主と売買契約を締結する

不動産会社の売却活動が実を結び、買主が見つかったらいよいよ売買契約の段階に入ります。
売買契約とは、売主と買主の間で交わされる不動産売買に関する正式な契約のことです。
一般的な流れは次の通りですが、物件の引き渡しや代金の受け渡しの方法などは、取引ごとに異なるケースもあります。

  • 売買条件の合意
    売主と買主の間で、売買価格や引き渡し時期、付帯設備の処分など、売買に関する条件について合意形成を進めます。双方の希望をすり合わせながら、物件の特性に応じた現実的な条件を固めていきましょう。
  • 売買契約書の作成
    合意した売買条件を基に、不動産会社が売買契約書を作成します。契約書には、物件の表示、売買代金、決済の日時と方法、所有権移転の時期、瑕疵担保責任など、取引に関する詳細な取り決めが記載されます。内容に不明点がないかしっかりチェックすることが大切です。
  • 手付金の授受
    買主から売主へ、売買代金の一部である手付金が支払われます。手付金は売買契約成立の証として授受されるもので、売買代金の5〜10%程度が一般的と言われています。手付金を受け取った時点で、売買契約が確定します。
  • 残代金決済の準備
    売買代金から手付金を差し引いた残金の支払いに向けて、買主は住宅ローンの手続きを進めます。売主は物件の抵当権抹消や、債務の返済準備を進めましょう。スムーズな決済のために、不動産会社と連携を密にすることが肝要です。

売買契約の成立で、不動産の所有権は売主から買主へ移転します。
ただし、所有権移転の登記が完了するまでは、引き渡しが済んでいても売主に物件の管理責任が残ります。
トラブルを避けるためにも、契約内容は詳細まで把握し、疑問点は早めに確認しておくことが賢明です。
買主との信頼関係を大切にしながら、円滑な売買契約の締結を目指してください。

STEP4.引き渡しを行う

売買契約書に記載された日時に、物件の引き渡しと残金決済を行います。
ここでは、次のような具体的な作業が行われます。

  • 現金又は信託による決済
    売買代金の決済方法には、現金決済か信託決済の2つがあります。現金決済は銀行などで直接受け渡す方法、信託決済は不動産会社が指定した銀行の信託口座を通して決済する方法です。近年は信託決済が主流になっているので、不動産会社の案内に従いましょう。
  • 物件のクリーニング
    買主に気持ちよく物件を引き渡すために、売主は物件のクリーニングを行います。家財道具などは全て撤去し、部屋をきれいに清掃しておくことが大切です。リフォームが必要な箇所は、契約で取り決めた通りに手直ししておきましょう。
  • 設備や鍵の引き渡し
    物件の設備や備品、鍵などを買主に引き渡します。リモコンや取扱説明書なども忘れずに渡しましょう。電気・ガス・水道などのライフラインは、買主への名義変更が必要です。ポストなど郵便物の名義変更も忘れずに手配します。
  • 物件の最終確認
    買主が物件の最終確認を行います。契約通りにリフォームが施工されているか、設備に不具合はないかなどを入念にチェックします。問題があった場合は、すぐに売主に連絡して善処を求めましょう。

物件の引き渡しと代金決済が滞りなく完了すれば、晴れて不動産の売買が成立します。
ただし、売主の責任はすぐには終わりません。
物件に隠れた瑕疵があった場合、売主は一定期間、瑕疵担保責任を負うことになります。
アフターフォローを怠らず、買主との信頼関係を大切にする姿勢を持ち続けることが肝要だと覚えておきましょう。

以上が、不動産売却の基本的な流れです。
各段階で必要な事項を押さえておけば、初めての売却でも安心して進められるはずです。
不動産の売却は、大きな決断が必要で時にストレスも感じる一大イベントですが、各STEPを地道に進めていくことが成功への道です。
不安な点は信頼できる専門家に早めに相談し、自分の納得のいく売却を目指して進んでいきましょう。

まとめ:不動産の早期売却で負担を減らし、理想の暮らしを実現しよう

今回は、不動産売却までの平均期間を知りたい方に向けて、

  • 不動産売却の平均的な期間
  • 売却期間が長引く原因と対処法
  • 早期売却のポイント

上記について、数多くの売却案件を成功に導いてきた、筆者の経験を交えながらお話ししてきました。

一般的な不動産売却の期間は早くても2〜3ヶ月程度ですが、物件の条件や売却時期、価格設定によっては、半年以上かかることもあります。
売却が長引けば、その間の住宅ローンの返済や管理費用など、売主の負担は増大します。

早期売却のカギを握るのは、適正な価格設定と物件の魅力アップです。
不動産のプロに相談しながら、売却戦略を練ることで、スムーズな売却が可能になるでしょう。

あなたが不動産を売却したいと考えているのは、きっと現状の生活に何かしらの不安や不満があるからではないでしょうか。
その思いは、とても大切にしなければいけません。

たとえ今は売却までの道のりが見えなくても、一歩ずつ前に進んでいけば、きっと理想の暮らしが手に入るはずです。
あなたの新しい人生の一歩を、心から応援しています。

運営者[不動産売却セレクト編集部]

不動産売却セレクトは、不動産業界など様々な業種にマーケティングDXサービスを提供する株式会社ピアラがコンテンツの管理を行っています。当メディアでは、一般的な不動産売却だけでなく、公有地の売却手続、譲渡費用・損失の税務上の取り扱い、競売物件の情報など幅広い専門知識に基づいた、有益な情報をお届けします。

物件の権利関係や法令上の制限を事前に確認し、関連法規を遵守しながら適切な手続きを進められるよう、不動産売却に関する正しい知識を発信してまいります。

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