売りたい家が事故物件である場合、売却できるのか心配な方もいるのではないでしょうか。
事故物件でも売却可能ですが、一般的な不動産売却と違い告知義務などの注意点や売るためのコツがあります。
本記事では、事故物件の売却にあたって押さえておきたい基本的な情報から売却価格の相場、より早く売るためのポイントまで詳しく解説します。
事故物件の売却でお困りの方は、ぜひ参考にしてください。
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事故物件の定義とは?事故物件を売りたいときに知っておきたい基本情報
「事故物件」というと、「人が死んだ部屋」のようなイメージをされることが一般的です。
しかし、国土交通省のガイドラインを参照すると、さらに具体的な定義づけがされているのがわかります。
この項では、事故物件の定義と基本的な情報について見ていきましょう。
事故物件として扱われる定義
事故物件とは、購入にあたって精神的抵抗を感じさせるような背景(心理的瑕疵)を持った部屋の一つで、その中でも「過去に住人が死亡している」点にフォーカスした物件のことです。
事故物件の定義は、国土交通省『宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン』を元にすると以下のようになります。
- 自殺や殺人などの不審死や孤独死が発生した物件
- 1以外の死因であっても、死後長期間放置されたことに伴い特殊清掃や大規模なリフォームが行われた物件
以上の点から、事故物件とは「老衰による自然死や、転倒・誤嚥などによる事故死を除く住人の死亡事象があった部屋」および「住人の死に伴って特殊清掃や大規模リフォームが行われた部屋」であると定義できます。
なお、この定義は室内だけでなく、マンションのベランダや階段、エレベーター、駐車場といった共有部にも適用される点に留意しましょう。
事故物件の売却時に必要な告知義務とは?ルールを解説
事故物件の売却時には買主に告知事項を伝えることが義務づけられており、これを「告知義務」と呼びます。
ここでは告知義務の概要とルールについて、以下の3点から解説します。
- 事故物件の告知義務とは?
- 購入希望者への告知の仕方
- 黙っての売却は告知義務違反になる
順番に見ていきましょう。
事故物件の告知義務とは?
「告知義務」とは、事故物件のような心理的瑕疵のほか、環境的、物理的、法的に何らかの瑕疵のある部屋を売却する際、買主に対してその事実を伝える義務のことを指します。
特に事故物件は、物理的瑕疵や環境的瑕疵のように直接目に見えたり耳に聞こえたりする瑕疵ではないことから、個々の感じ方に委ねられる部分も大きいのが実情です。
とはいえ、国土交通省のガイドラインに沿って、売却したい物件が事故物件に該当する場合は必ず告知義務を果たすようにしましょう。
購入希望者への告知の仕方
購入希望者への告知は「重要事項説明」の際に行われるのが一般的です。
告知するタイミングが決まっているわけではないため、重要事項説明より前に行っても問題ありません。
重要事項説明は売買契約締結前の最終確認にあたることから、内見時やポータルサイト等への掲載時など、より早い段階で告知しておくことで後々のトラブルを防ぐ方法もあります。
黙っての売却は告知義務違反になる
事故物件であることを伝えずに売却すると告知義務違反となり、ペナルティが課せられます。
具体的な内容としては契約解除が一般的ですが、多額の損害賠償を請求されるケースも少なくありません。
「事故物件だと伝えると売れないかもしれない。黙っていればバレないだろう」
そのような考えで告知義務を怠ると、大きなトラブルに発展するおそれがあります。
また、告知義務の期間は定められておらず、過去には50年前に殺人事件があった物件でも告知義務があるとした判例も存在します。
該当の死亡事象がいつ発生したかに関わらず、告知事項は必ず買主に伝えましょう。
事故物件を売却するには?選べる2つの方法
事故物件の売却方法としては、主に以下の2種類があります。
- 不動産会社を仲介して一般顧客に売却
- 不動産買取業者に売却
1つずつ解説していきます。
不動産会社を仲介して一般顧客に売却
事故物件も一般的な不動産売却と同じように仲介を利用した売却が可能です。
地域や建物の種類などによって不動産会社の強みが変わるため、不動産一括査定サイトなどを利用し、複数の会社から比較検討するのがよいでしょう。
また、昨今では事故物件の売買実績を持つ不動産会社も増えているため、実際の取扱実績を指標に選ぶのもおすすめです。
不動産買取業者に売却
一般顧客ではなく、不動産会社に事故物件を買い取ってもらうことも可能です。
直接買取のため仲介手数料や買主とのやり取りが発生せず、手間のかからないスピーディーな売却が魅力と言えるでしょう。
一方で、不動産会社による買取は再販時の経費やリフォーム費用が差し引かれる分、売却価格が仲介よりも安くなります。
一般的には市場価格の50%以下になるとも言われているため、「採算は二の次にして、とにかく早く家を手放したい」といった場合に向いている方法です。
事故物件の売却価格相場はどれくらい?
事故物件は通常物件の1〜5割ほどの価格になるのが一般的で、死亡事象の内容によっても変わります。
具体的には以下の通りです。
- 孤独死/自然死/事故死:1~2割
- 自殺:2~3割
- 殺人:3~5割
このように、心理的な恐怖感・嫌悪感が強い事象のあった物件ほど売却価格が下がりやすい傾向にあります。
とはいえ、立地や周辺環境などその他の条件でカバーできる可能性もあるため、必ずしも大幅に価格が低くなるとは限りません。
不動産会社と相談し、売却戦略を練ることがより高く売るためのポイントになるでしょう。
事故物件をスピーディーに売却するには?適正価格で取引するコツ
事故物件を迅速かつ適正価格で売却するために、以下の4点を意識しましょう。
- 修繕や掃除をしてから売却する
- 更地にしてイメージ回復をする
- 数年の期間を空けて売却する
- 不動産会社に買主を探してもらう
順番に詳しく紹介します。
修繕や清掃をしてから売却する
事故物件の場合、修繕や清掃をしておくことで買い手が見つかりやすくなります。
「室内が綺麗であれば事故物件でも気にならない」と考える人もいるからです。
特に長期間放置されていた部屋は壁や床にニオイ・汚れが残っていることも多く、張り替えなどの処理はマストと言えるでしょう。
ただし、大規模なクリーニングやリフォームを行う場合、100万円近い費用がかかる可能性があり、最低限の箇所にとどめて施工するのがおすすめです。
更地にしてイメージ回復をする
事故物件となった家を取り壊し、更地にしてしまうのも一つの手です。
特に建物の老朽化が進んでいたり、清掃や修繕ではカバーできないほど部屋が傷んでいる場合におすすめの方法と言えます。
家がなくなることでイメージ回復を図るとともに、買い手も見つかりやすくなるのがメリットです。
デメリットとしては、解体費用が発生する点と、更地になることで固定資産税が跳ね上がる点です。
家の解体費用は一般的に90〜200万円程度かかるため、売却益でカバーできるか慎重な判断が求められると言えるでしょう。
数年の期間を空けて売却する
死亡事象の発生から期間が空くことで、事故物件でも買い手が見つかりやすくなります。
特にニュースなどで広く報道された事象の場合は、なるべく年月を置いて近隣住民や周囲の嫌悪感・恐怖感が和らぐのを待つのがおすすめです。
待機期間中に少しずつ修繕をしたり、将来的に更地にするための解体費用を貯めるのもよいでしょう。
ただし、死亡事象からの経過時間にかかわらず、告知義務は発生する点に注意が必要です。
不動産会社に買主を探してもらう
不動産取引のプロフェッショナルに頼るのも、事故物件を迅速かつ適正な価格で売るポイントです。
昨今では事故物件の売却において高い実績を誇る仲介会社も増えつつあります。
各会社独自のネットワークで全国から購入希望者を探せるため、早期売却が期待できるのが魅力です。
反面、仲介手数料が発生する点と、「都市部にある」「駅に近い」などの訴求力に欠ける物件は買い手が見つかりにくい点がデメリットと言えるでしょう。
不動産事故物件売却でよくある質問
最後に、事故物件の売却でよくある質問にお答えします。
事故物件は売れるか、事故物件を売るためのポイントとは?
結論から言うと、事故物件でも売れます。
売るためのポイントとしては、以下の4点を押さえておきましょう。
- 部屋の修繕やクリーニングをしておく
- 死亡事象が起きた直後ではなく、少し期間を空けて売却する
- 告知事項はなるべく早めに伝えておく
- 高く売ることにこだわり過ぎない
精神的抵抗が強まりやすい事故物件ですが、部屋を綺麗にしたり、期間を空けてから売ることで買主の嫌悪感を和らげることが可能です。
加えて、事故物件であることを物件紹介や内見の際に伝えておけば後々のトラブルを防ぎ、スムーズな取引が望めるでしょう。
また、よほど立地条件などが優れていない限り、事故物件が通常物件と同等の価格で売れることはほとんどありません。ある程度割り切り、売却価格に固執しないことも事故物件を売るコツと言えます。
事故物件の買取相場は?売買価格の相場は?
事故物件の買取相場は通常物件の4〜7割に抑えられるのが一般的です。
死亡事象の内容によって異なり、具体的には以下のようになります。
- 孤独死/自然死:6~7割
- 自殺:5割程度
- 殺人:4割程度
精神的抵抗、嫌悪感や恐怖感が強い事象であるほど、買取価格は安くなる傾向にあると言えるでしょう。
また、売買価格については通常物件の1〜5割ほど安くなることがほとんどです。
割合に差がある理由は、立地などその他の優れた条件でカバーできたり、買主が事故物件であることを気にしなかったりするケースがあるからです。
程度の差こそあるものの、基本的には通常物件よりも価格が下がると考えるのがよいでしょう。
まとめ
ここまで、事故物件の定義から告知義務などの基本情報、事故物件を売却するためのポイントについて詳しくお伝えしました。
事故物件にはネガティブなイメージがあり、売れないと考える人も少なくありません。
たしかに死亡事象の無い通常物件に比べると価格は下がりやすいのが実情です。
しかし、売るためのコツを押さえればスピーディーかつ納得感ある価格で売却できる可能性があります。
売りたい家が事故物件だからと諦めず、物件そのものの強みや事故物件ならではの対策を理解して、後悔しない不動産売却に踏み出しましょう。
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